プロジェクト紹介

平成30年度 防災・安全交付金(地すべり対策)工事

工事箇所:長野市芋井桜
工事概要:グラウンドアンカー工  N=12本(3段×4列),連続繊維補強土工(t=20㎝), 植生基材吹付工

美しい地域を守るための施工

長野市芋井は長野駅から車で20~30分の地域で、りんごや米といった農産物の産地である。棚田の風景は美しく「ながの百景」にも選ばれている地域である。
本工事は地すべり対策工事としてグラウンドアンカー工と連続繊維補強土工を施工。グラウンドアンカー工とは高強度の鋼より線を地山に挿入して基盤内に定着させ、鋼より線の力を利用して地すべり土塊の動きを抑えるものである。また崩壊が想定される法面には繊維と砂を同時に吹き付ける連続繊維補強土工を施工し、地すべりの抑止と法面保護を併せて施工することが本工事の目的であった。

  • 施工前
  • アンカー工法

地域特有の課題と向き合う

長野県は以前より災害が発生しやすい地域でもあり、地域住民のみなさんの生活圏と災害のリスクは隣り合わせである。本工事の施工箇所も保育園に隣接しているところであり、施工箇所の前の道路は保育園に続く道となっていた。
現場担当者は『まずは園児や職員のみなさんの安全の確保を第一に考えました。また工事には「騒音」がつきものです。この音を抑えることも課題でした。園児や職員のみなさんのストレスにならないよう施工をしながらも工期を守ることがポイントとなりました。』と語る。
施工にあたっては保育園側への防音効果や安全確保に考慮して、高さH=3.0mの立入禁止柵併用の防音壁を設置し、それに加えて園内から見える景色が遮断されることから、防音壁へは動物のイラストを入れた。また吹付のエア抜きに伴う騒音を回避するため、消音装置を設置した。

「施工」+「地域性」

『工事内容自体は同じでも地域特性に応じて施工方法を変えたり、様々な工夫が必要となります。今回の工事では“安全管理”と“騒音対策”を重点項目にしましたが、結果的に保育園の職員の方に「音が気にならず、いつも通りの一日が送れるのでありがたい」というお声をいただいたときには地域に合わせた施工ができたのだと嬉しさを感じます』
この工事で現場担当者は工夫の一つとして施工した法面の法尻にチューリップの球根を植えた。現場を終えて数か月後の春先に現場へ行ったところちょうど園児の目の高さの位置でチューリップが咲いていた。
『わたしたちが工事することで災害に強い地域創りに繋がりますし、これからは工事で地域の人に安心と笑顔を届けられればと思っています』