プロジェクト紹介

平成29年度 防災・安全交付金(総合流域防災) 緊急改築(地すべり)事業に伴う緊急調査業務委託

調査箇所:長野市中条 小手屋地区
工期:平成29年7月27日 ~ 平成30年3月28日

地すべり多発地帯での豪雨災害

長野市中条は「ながの百景」に選ばれている「棚田」で有名な地域である。本現場は、平成29年7月14日の豪雨によって人家周辺で土砂崩落等の被害が生じた集落(長野市中条小手屋地区)である。当該地は、県内でも有数の地すべり多発地帯の一角にあり、その3年前の平成26年11月22日に発生した長野県神城断層地震に際し、ブロック冠頭部に位置する宅地内で開口亀裂が生じていた。このため、地すべり性の活動の可能性が懸念され、今後の保全対象(人家、道路、耕作地等)への被害拡大の防止を図るための調査を行った。

緊急性の高い地すべり

当該地は既存する周辺の地すべり防止区域に含まれていない地域であるため、当初の業務では地すべり防止区域の指定申請を実施し、次年度以降の地すべり対策事業(精査・計画・設計・対策工)の実施に向けた基盤作りを目的としていた。そして、順調に地すべり概査をこなし、年内には指定申請まで漕ぎ着くことができた。
しかし年明けの1月、当初の計画から地すべり調査(設計含む)の実施へと方針が変更となった。地すべり調査で行うボーリング調査は通常積雪のない時期に実施することが多いが、当該地は周辺地域よりも標高の高い豪雪地帯である。しかし現場は緊急性の高い地すべり地であり、早急に調査ボーリングの準備に入った。

チームワークで乗り越える

年明けからは工期の中で業務を遂行するためにベテランと若手社員が業務の分担を行い、スピーディーに業務を進められる体制を整えた。若手社員は調査ボーリングの現場作業や準備工を行い、翌月2月中旬から調査ボーリングを開始した。工期上、ボーリング班を最大3班同時に稼働させ、大雪に見舞われながらも何とか3月中旬までに原位置試験も含めた現場作業を完了させた。
また現場でのボーリング調査だけではなく、同時進行で調査結果のデータ整理や図面作成を、上司が地すべり解析や対策工の設計を担った。分担をしながらの作業ではあったが、ベテラン社員と若手社員がチームワークを発揮し、随時調査結果と解析・設計に関する情報のやり取りを行い、工期の中で報告書をまとめ、発注者へ納品するに至った。


雪の中での調査ボーリング

地域のみなさんと関わって

業務期間中、幾度もお訪ねした地元住民のお宅では、軒下で温かいコーヒーをいただきながら色々なお話を交わした。後々、ボーリング班の同僚のご親戚だという話を聞いて驚いたが、世間の狭さを感じると共に地域社会への自らの役割を改めて感じ取ることができた。
また、業務完了後、対策工の施工状況を確認しに行った際、地元の方から大変感謝されたことを思い出す。本業界は地味な仕事に思われがちだが、時には地元住民と最初から最後まで関わる地域密着型の仕事もあり、地域住民の安心・安全な暮らしには欠かせられない存在であることを確信している。